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人事評価の「効果・効能」~人事評価の納得感を高めることで、組織が目的の方向に動いていく《後編》~最近の傾向・ご支援から見えること

SANNOエグゼクティブマガジン


<前編の概要>

1. 多くの組織で人事評価のしくみは整備されていますが、そのしくみを導入した目的が本当に組織に浸透しているのか、考えてみます。

2. 人事評価の目的は、仕事のマネジメント、人のマネジメント、仕事ぶりの査定の3つです。

3. この3つの目的のうち、自組織の人事評価は何を狙いとしてやっているのかという人事評価に対する「価値観」のようなものが、評価する側、される側の社員にきちんと伝わっているのかということが重要です。

4. また、制度設計時点では、事業環境や自社の状態に適合したしくみができていたとしても、事業環境や人材に求める要件の変化に人事評価制度が適合していない、乖離が出てきてしまっているという例も見かけます。

5. 人事制度も定期的に見直さなければなりません。「現行の評価体系は今の事業の実態と合っているか」「昇格・任用や人件費のコントロールを適切に行うことができるしくみになっているか」など、点検項目は多岐にわたります。人事評価をめぐって、表面上の問題は起こっていない組織においても、中期的な視点も含めて、一定期間ごとに制度の運用状況を総括してみる必要があります。

「グローバル」と人事評価

人材マネジメントの領域の大きな関心事、キーワードである「グローバル」について、最近ではグローバル企業の制度統一という話も出てきています。ある欧州企業の日本法人では、全世界の社員に適用される序列を設定し、ローカルの法人のしくみをこれらと整合の取れたものに見直していくことが要請されています。また、日本の雇用環境の未来を考えると、日本的労働観や価値観、感覚の異なる従業員を評価しなければならなくなる日は近いかもしれません。少なくとも外国人の部下を抱える組織というのは5年後、10年後に確実に増えるのでしょう。そうすると、そこには、なぜこういう評価をするのか、上司が部下にシンプルに説明できる力が必須となります。慣習や感覚に頼らず、「こういうルールに基づいて、こういうことのために評価をしているのです、だからあなたはこういう評価をされたのです」ということを理屈で説明できるだけの評価が求められています。これまでは「人事評価は会社のしくみなのだから仕方がない」と言ってくれる、ものわかりのよい部下を評価してきた組織では、おそらく、諸外国から転勤で来た部下に、「ボス、申し訳ないが意味がわからない」と言われてしまいます。

評価の納得感

評価者研修の場面において、「評価の納得感を高めましょう」とよく言われます。しかし、部下の納得感を損ねないために甘い評価をしていたのでは意味がないわけで、大事なのは、評価する側とされる側の双方が納得できている状態をいかに高めていくかということです。今、人事評価の運用上の問題になっていることのかなりの部分は、「評価する側の納得感の低さ」が招いている側面があります。上司の側が納得できていないのに、適切な評価などできるわけがありません。

では、なぜ評価する側の納得感が得られないのか。あえて言い切ってしまうと、評価する側に人事評価が役に立っているという実感がないからです。これまでの評価する側、される側としての経験から、人事評価の意義や有用感を体験することができていないのではないでしょうか。まずは、「評価者にとって役に立つ」という成功体験を持ってもらうことが重要です。

これは極端な例ですが、前号で述べた人事考課の3つの目的のうち、査定ツールとしての機能がメインですと言っている会社のほうが実は役に立っている感がわかりやすいのです。上司の評価一つで部下の年収が大きく変わるわけで、マネジメントだの能力開発だのは自己責任です、基本的には結果を求めています、という明快な方針の元に作られているしくみはわかりやすく、自分の評価というものについて効果・効能が感じやすいとも言えます。しかし、そうではない、仕事のマネジメントも人のマネジメントも査定も、すべてを期待していますという会社において、評価者が仕事のマネジメントにおいて、また人のマネジメントにおいて、人事評価が役に立つものであると認識しているかは、はなはだ疑問であると言わざるを得ません。

役に立つ人事評価が評価者の納得感を高めていくことにつながるでしょうし、評価者の納得感が高まっていくことによって、ようやく組織のシステムとして目的の方向に動いていくのではないかと思うのです。

人事評価はマネジメントの実践場面そのものです。貴社では、組織のマネジメントの弱さをすべて人事評価の欠陥に押しつけようとはしていないでしょうか。


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