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人事評価を職場のマネジメントとして機能させる~評価者として努力すべきこと《前編》~最近の傾向・ご支援から見えること

SANNOエグゼクティブマガジン


目的は浸透しているか

「人事のさまざまなしくみは本当にわれわれの組織にとって役に立っているのか」

人事評価について、さまざまな組織でお話を伺う中で、特に現場のマネジャーから聞く話です。

本稿では、人事評価について、しくみは整備されているが、そのしくみを導入した目的や組織がやりたいことが本当に組織に浸透しているのだろうか、という問いについて考えてみたいと思います。

ここ10~15年の間で、日本の組織では、官民・規模・業種を問わず、どこの組織へ行っても人事評価がしくみ化され、制度としてひどい出来映えのものを見ることは少なくなりました。しかし、運用という面では何かうまくいっている感覚がないので、しくみを変えたいとか評価者に対するトレーニングを強化したいといった話をいただくわけです。経営層や担当部門の方、また評価者の方々とお話をしていると、自組織のルールや様式の使い方については浸透しているのですが、「御社の人事評価は何のためにやっているのでしょうか」という極めてシンプルな問いに対して、しっかりした答えが返ってくることが稀なことも事実です。組織全体として共有すべき目的が充分に説明、徹底されないままに、制度の構造やマニュアル、スキル伸長のための教育施策だけがどんどん精緻化されていっているのではないでしょうか。

人事評価の3つの目的

人事評価には、大別すると次の3つの目的があります。

1. 仕事のマネジメント: MBO(Management By Objectives:目標による管理)によってPDCAサイクルを上手く回していく。

2. 人のマネジメント: 個の能力開発、組織の活性化に上手に使う。目標についても常にチャレンジングなものを意識させながら、動機づけに役立てる。個の能力開発、組織の活性化に上手に使う。目標についても常にチャレンジングなものを意識させながら、動機づけに役立てる。

3. 仕事ぶりの査定: 社員の仕事ぶりを公正に検証していくために、しっかりしたルールの中で全管理職が部下の仕事ぶりを評価していく。

この3つの目的のうち、自組織の人事評価は何を狙いとしてやっているのか、どこの部分を強調したいのかという人事評価に対する「価値観」のようなものが、評価する側、される側の社員にきちんと伝わっていることが重要です。しくみの細部の議論に至る前に、人事評価に対する価値観のすり合わせが必要だと思います。

この3つの目的のうち、どれか1つだけのために人事評価を行うのであればしくみもシンプルになり、評価する側の立場としては大変わかりやすいでしょう。しかし、日本企業では、何となく1と2のいずれにも少しずつ役に立てたい、といった感覚が大半ではないでしょうか。また、人事査定のツールとしての機能を考慮すると、人事評価結果の相対調整ということが話題になって、Sの分布は何%まで、下位評価も必ず何%とするように、といった話になります。1と2の目的だけを追求するのであれば、指標化や相対化を分布率で強制的かつ精緻にコントロールする必要性は低いはずで、有限の賃金原資を配分するための指標という機能の使い勝手を考えたときに、それが必要になるというだけのことです。このあたりの「自社の人事評価の体系と機能」や「絶対評価-相対評価(調整)の考え方」といった根本原則や理屈の説明不足が、人事評価の意図どおりの運用を阻害しているという面は否めません。

日本の多くの組織は、人事評価で1、2、3をすべて実現しようという、とても欲張りなしくみを構築しているとも言えます。結果、評価者に対して、一定期間ごとに「組織目標に連鎖する形で、個々人にとってストレッチしたレベルの目標を、評価基準を明確に定量化して作成し、部下のやる気を引き出すようなフィードバックをするように」との極めて難解な要求がなされます。評価者がこの要求に応えられない、応えにくいというのは、人事評価のレベルの低さというよりも、マネジメントの難しさそのものであり、人事評価制度の多少の見直しや評価固有の知識やスキルの伸長だけでは決して解消しない問題です。

自組織の制度導入検討時に、自組織固有の環境や組織マネジメントの基本的な考え方と「トレンドとなっているしくみ」の適合について十分な議論がされていれば問題ないのですが、「急いで、他社とよく似たしくみを導入すること」が目的化してしまった例はなかったでしょうか。自組織のマネジメント、人材に求めるものという人材マネジメントの根幹をなす考え方や自組織の事業の実態といった諸要素と、導入しようとしているしくみがどれほど適合するかがじっくりと議論されたか、ということには若干疑問があるかもしれません。

また、制度設計時点では、事業環境や自社の状態に適合したしくみができていたとしても、事業環境や人材に求める要件の変化に人事評価制度が適合していない、乖離が出てきてしまっているという例も見かけます。

車にたとえて言えば、新車に買い換える必要まではないかもしれませんが、定期的な「車検」は受けるべき、というのが筆者の考えです。部品の一部が劣化してくるということは当然起きる、“制度疲労”が起きている可能性は否定できません。多くの企業では2年程度に一度、「中計」を作っているはずです。制度の安定性を考慮すると、中計策定のたびに制度を見直すのはサイクルが短すぎるにせよ、中計の2期に1度くらいは人事評価制度も「車検」を受けるべきでしょう。

「現行の評価体系は今の事業の実態と合っているか」「昇格・任用や人件費のコントロールを適切に行うことができるしくみになっているか」など、点検項目は多岐にわたります。人事評価をめぐって、表面上の問題は起こっていない組織においても、中期的な視点も含めて、一定期間ごとに制度の運用状況を総括してみる必要があります。<次号・後編に続く>


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