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思考と行動をつなぐ、グローバル標準の対話スキルを身に付ける~最近の傾向・ご支援から見えること

SANNOエグゼクティブマガジン


1. 価値観の衝突をエネルギーに変えるために

グローバル環境とはアウェーの中で仕事をすることです。そこでは、相手に自分の価値観を押し付けるのでもなく、合わせるでもなく、価値観の衝突(コンフリクト)をエネルギーに変え創造的な選択肢を生み出すことが大切です。

しかしながら、多くの方は価値観がぶつかることを避けているようです。なぜでしょうか。

グローバル環境下では、情報や資源を積極的に共有するオープン・ネットワークで仕事をすることが前提となります。そこでは「強い個」を前提とした思考のプラットフォームへの転換が必要です(詳細は本誌2012年6月Vol.10)。そして、組織全体が共通の出口イメージを共有し、各自がリーダーシップを発揮する必要があります。(詳細は同2013年8月Vol.24)。 このように、グローバル環境下では、思考(プラットフォーム)と行動(リーダーシップ)の両方を変える必要があります。しかし、実際は容易なことではありません。なぜなら、思考と行動を変えるには、思考と行動をつなぐ対話スキルが必要になるからです。

対話スキルはいくつか存在しますが、私が特に重視しているのは「コンフリクトを問題解決につなげる2つの対話スキル」です。今回は、このスキルをご紹介します。

2. 避けられない価値レベルでのコンフリクト

国境のみならず市場、業界がボーダレスになったグローバル環境下では、異業種との連携や競争が当たり前になっています。背景の異なる人・企業と同じ土俵で仕事をするのです。そこではさまざまなコンフリクトが生じます。行動レベル、理念レベル、価値レベルなど、コンフリクトにはいくつかの段階がありますが、 最も深刻なのは価値レベルのコンフリクトです。

日本的な和を大切にする組織では、同じ価値観を共有することが当たり前でした。しかし、グローバル化し多様なメンバーからなる今日の職場では、仕事に対する価値観、生活に対する価値観、人生に対する価値観など、異なる価値観が常にぶつかり合います。

価値観がぶつかり合うことは、和の精神を尊ぶ日本人にとって好ましいことではありません。しかし、ますます混迷化するグローバル環境下では、同じ価値観を前提に限られた選択肢しか持たない組織よりも、さまざまな価値観をテコにより多くの選択肢が創造される組織の方が、「組織の存続と成長」の可能性が高くなります。ですから、グローバル化時代では、コンフリクトは増えることはあっても決して減ることはないのです。

3. コンフリクトをテコに新たな選択肢(=協働)を生み出す

コンフリクトをエネルギーに変える、問題解決につなげる必要があると述べましたが、それに活用できるモデルがあります。コンフリクトの解消モデルとして一般的に用いられているフレーム「二重関心モデル」(Thomas & Kilmann, 1975)(図)です。

組織対組織の交渉では、主張がぶつかり合います。最終的に、相手組織の弱い立場(例:下請け)に付け込み自組織の利害で押し切る「競争」、あるいは、相手組織の強い立場(例:メーカー)に逆らえず相手に合わせてしまう「服従」という2つのパターンが一般的です。

そして、その中間として「妥協」があり、図の矢印上に妥結点が存在します。しかしながら、目指すべきは「妥協」ではありません。右上「協働」の領域なのです。

    4. コンフリクトを「回避」する現実

    このモデルを組織ではなく個人の仕事に当てはめると、状況は異なります。「回避」の領域に閉じこもり、仕事をしている方も少なくありません。

    個人の仕事では、「服従」は他部門から業務を依頼され一緒に仕事をするという意味です。「服従」の領域での仕事は相手主導ですので、一見容易に見えるかもしれません。しかし、自部門の業務負荷が増大する中、各部門の業務が専門化している現代においては、単純な連携でも「服従」は難しくなってきています。場合によっては、最終的に依頼した側が自分たちでやった方が早いと判断し連携を諦めてしまうことも珍しくないでしょう。

    逆に、個人の仕事を「競争」(自己主張を強くし、相手に対する配慮をあまり行なわない)領域に広げることはできるでしょうか。それはもっと難しいかもしれません。なぜなら、多くの日本人は仕事を通じて自分の思い、考え、主張を前面に出すことを避ける傾向にあるからです。

    二重関心モデルを個人の仕事に当てはめると、他人と一緒に仕事をすることを避け、組織の中で自分らしさを出すこともせず、「回避」型で孤立して仕事をしている方が多い、ということが理解できます。

    5. 2つの対話スキルで「回避」から脱却する

    では、どのようにすれば、「回避」を最終的に「協働」に持っていくことができるのでしょうか。そのためには、「回避」から自ら脱するための対話スキルを身に付ける必要があります。具体的には以下の2つです。

    • 対話スキル① 「相手に対する配慮」の強化 ⇒ 分(自部門・自社)の強みのシンプル化
    • 対話スキル② 「自己主張」の強化 ⇒ 分の問題意識の高度化

    対話スキル①は、普段一緒に仕事をしていない方と話す際、自分の強みを相手の言葉を使って簡単に表現するという意味です。例えば、自分の強みが「エクセルによる統計 処理」であるならば、「数字を使った問題分析」、自社の強みが「劇薬用特殊工業用フィルター」であるならば、「危ないものをクリーンにして流れを良くする技術」というように表現することです。これは「服従」領域で仕事を行う可能性を高めます。

    対話スキル②は、自職場にとどまらず、自部門、自社、市場、社会と視野を広げ、より大きなフィールドで自己主張するという意味です。

    例えば、環境対応は自社だけではなく、顧客の問題でもあります。したがって、顧客を巻き込むことが「協働」になりますが、そのためには自分(あるいは自社)が環境問題の解決の道筋をストーリー(=自己主張)として持っていることが必要です。ご自身の問題意識を自職場に限定せず主張することができれば、「競争」領域で仕事を行う可能性が高まります。

    これら2つの対話スキルは、「協働」領域で仕事を行なうための第一歩となります。また、グローバル環境下においては、多様性を活かす力にもなります。より創造的な選択肢を生み出すために、ぜひ「コンフリクトを問題解決につなげる2つの対話スキル」を身に付けてください。


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