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営業の今昔~社会動向から世の中を見る

SANNOエグゼクティブマガジン


ずいぶん昔に営業の生産性が問題になったことがあります。戦後の復興期、二度のオイルショック、円高不況、バブル崩壊、長引くデフレに耐えて日本企業の生産・製造部門は鍛えられました。その過程で、トヨタやキヤノンといった企業がカンバン方式、自働化、セル生産方式という革新的な手法を生み出し、日本の製造業は現在でも世界のトップランナーの地位を維持しています。次に物流サイドも、システム化を武器にしたヤマト運輸に代表されるように、その生産性を高めてきました。管理部門も同様にOA化により飛躍的に生産性を高めてきましたが、営業部門のみ活動がブラックボックスで旧態依然と生産性が低いままであるという議論です。それから十数年たちましたが状況はどのように変わってきたのでしょうか。

なかなか進まない標準化

標準化しプロセスを見える化しない限り、組織として改善はできません。改善ができないと、当然ながら生産性は向上しません。消費財の販売については、アマゾンに代表されるネットショップの台頭により、ずいぶん生産性が高まってきているように思います。これらの企業は、常にプロセスを標準化し改善をし続けています。しかし、人的な販売を中心とするBtoBの営業、消費財でも自動車のような高額商品を扱う営業はいかがでしょう。一時期SFA(セールスフォース・オートメーション)がはやり、営業の標準化、生産性の向上を目指して数多くの企業が導入しましたが際立った成果は出ていないようです。このまま日本の営業は、伝統芸能化していくのでしょうか。

営業の標準化とはガイドラインの設定

ここで少し立ち止まって、標準化の意味を考えたいと思います。工場における標準化は画一化です。少しでもブレると品質に問題が発生してしまいます。工場の場合、相手が機械ですから画一化が可能なのですが、営業の場合、相手は顧客です。機械相手のように画一化はできません。それでは、営業の標準化とはどのようなものでしょう。ここでいう標準化とは、企業として独自の売り方を決定することを意味しています。つまり、「当社は、営業にあたって、最低限これだけのことはやる」といったガイドラインの設定をするのです。ガイドラインである営業活動プロセスをベースに、営業担当者個々が創意工夫することによって、ガイドラインのレベルが向上し、営業の生産性が高まるのです。営業の場合、工場のように画一化するのではなく、多少ばらつきはあるものの、ガイドラインを継続的に見直し(改善)、全体のレベル(生産性)をあげていくのです。

それでも生産性は上がらない

現在、ガイドラインを設定し、継続的に見直しをしている営業部門があったとしても(実際に行っている企業はまれである)、これだけではあまり効果が得られないかもしれません。市場の成長局面では、正しいやり方(ガイドライン)をたくさんの営業担当者が実施すれば大数の法則が働き新規開拓の成果が出るでしょう。しかし市場の成熟局面では新規客ではなく既存顧客の買い替え需要が中心となり、競合企業との熾烈な顧客奪取戦にさらされ、顧客の維持が困難になってきます。営業活動プロセスの標準化だけでは不十分なのです。なにが欠けているのでしょうか。

ナレッジによる関係性強化

先述のアマゾンは、顧客の情報を収集・分析し個別に商品を推奨するなど顧客に関するナレッジをうまく活用しています。すべての情報をデジタル化しビッグデータとして蓄積・活用するモデルの魁ともいえます。しかし、フェースtoフェースが基本の営業ではなかなかマネができません。顧客に関する情報、そしてそれらから得られるナレッジ(経験則等)は、営業担当者の頭の中に蓄積されます。いわゆる暗黙知です。近年、暗黙知を形式